みかづきさんと僕
訳がわからないままキッチンへ入った瞬間に見えたそれ。
嗚呼、そっか。目覚める時に微かに香ったのはこれだ。
「みかづきさん、これ…。」
『ごめんね。』
「え…?」
みかづきさんからの突然の謝罪に目が点になる。
『私が仕事ばっかりだから、君に寂しい思いをさせて。』
ごめんね、ともう1度呟いたみかづきさんに胸の深い深いところが高鳴った。
身体を突き動かす感情に素直に従って、俯くみかづきさんの腕をグイッと引くとその小さな身体を腕の中に閉じ込める。
「みかづきさん…。」
『はい。』
「みかづきさん。」
『なぁに。』
クスクスと笑いながら、僕を甘やかすそのゆったりとした声音が好きだ。
「ありがとうございます。」
僕の言葉に、みかづきさんは一瞬キョトンとして、次に困ったように微笑んで…。
『こちらこそ。』
その言葉を聞くなり僕は何故か無性に泣きたくなった。
みかづきさんの後ろには、僕の大好きな
オムライスが用意されていた。