みかづきさんと僕
テーブルに突っ伏したまま見上げてみるみかづきさんはなんだかとても綺麗で、呼吸を忘れそうになる。
僕の視線に気付いた彼女は、さっきまであんなに無邪気に笑っていたのに急に恥ずかしそうに目線を逸らして、それで…。
『みつあき。』
そっと、優しい音を空気に溶かした。
みつあき、と呼ばれた名前。それだけで心は温かくなる。
「はい。」
テーブルの上に置かれた白くて綺麗な手に僕は自分のそれを重ねた。
『いつもありがとう。これからも一緒にいてね。』
「っ、」
嗚呼、もうほんと。
「覚えててくれたんですか…?」
『たまたま、ね。』
困ったように小首を傾げる彼女は、あまりそういう事を細やかに憶えている人ではないと知っているから、この気持ちをどう言葉で伝えればいいか…。
一瞬口を開きかけて、また閉じて。
思い浮かぶ言の葉すべてが何だが違うような気がして。けど、やっぱり僕の頭で考えるには限界があるから。
「みかづきさん…好きです。」
そんな在りきたりな言葉。
でも。伝わればいいな、僕の気持ち。