みかづきさんと僕




これは、

僕とみかづきさんが出会った時のお話。





『なぁ、頼むって!』

「嫌だ。」

『お願い!今回だけだから!!』

「…。」


それ、3日前にも聞いたわ。



頭を低くして両手を合わせる目の前の男に僕は冷やかな視線を送る。



「どうせお前の言う″お食事会″って合コンのことだろ!?」

『男女で仲良く飯食うだけだって!』

「世間一般ではそれを合コンって言うんだよ。」

『えぇ!?』


え、いや、お前なに驚愕みたいな反応してんの。僕が驚愕だわ。


『なぁ〜、頼むよみつあき!あと1人足りないんだって!!』

「うわっ!離れろ、なないろ!」

『行くって言うまで離さ…ないっ…!』


僕の身体に抱き付いてきた″なないろ″という男の頭をグイグイと手で押すがビクともしない。なんだこの馬鹿力は…っ!


「おっ…前!そのやる気と体力を卒論に回せよ!」

『現実から離れることも大切!!』

「現実逃避ヤメロ。」



さて、ここで確認しておこう。

現在、僕たちがいるのは某大学のとある廊下。つまり…。


「おい!人が…人が見てるっ!」

『行くって言え〜〜!!』


道行く人の注目の的になりつつある。




< 16 / 34 >

この作品をシェア

pagetop