みかづきさんと僕
『まぁまぁ、落ち着けよみつあき君。』
露季のこの言葉に僕は後ろを振り向いて噛み付くように言い返した。
「露季の裏切り者!」
『裏切り者って。だってお前いまカノジョいないだろ?』
「いないけど別に今欲しくなんか…。」
『……………グスッ……。』
…………………………は?
今しがた理解に苦しむような音が聞こえた僕はそっと横にいる奴に顔を向けた。
『お、お前はなぁ…モテるからそんなこと言えるんだよお……ッ…。』
「……うわぁ…。」
え、なにこいつ。泣いてんの?
『うわぁ、とか言うな!俺は今回の合コンに全てを賭けてんだ!!』
今自分で″合コン″って言ったんだけど。
いや、それより何より。
『重い。』
…ですよね。
僕と露季の思うことは同じだったらしく。僕が言う前に露季がなないろに渾身の一撃を食らわした。
たかが合コンに全てを賭けるとか、重い。重すぎるよ、なないろ。
流石のなないろも一発KO.よしっ!これで静かになった。
『でもさ、折角なんだし息抜きも兼ねて行ってきたら?ここ最近、お前根詰め過ぎ。俺もいつ止めようか悩んでたとこ。』
「う〜ん…。」
確かにここ最近は卒論に追われてストレスが溜まっていた。更に3日前の悪夢のおかげでストレスゲージは上昇の一途を辿っていたところだ。
『ほら、今日の相手は年上で良識ある人らばっかだからさ。』
「…ん?露季相手の人たちのこと知ってんの?」
『え?あ、嗚呼。まぁ…ね。』
「ふ〜ん。…まぁ、露季がそこまで言うなら行こうかな。」
『お〜、行っとけ行っとけ。』
こうして、僕は露季に上手く丸め込まれた気もするけど、横で瀕死寸前のなないろと合コ…いや、″お食事会″に行くことになった。