みかづきさんと僕
◇◇◇◇◇◇
「気が重い〜。」
『ほんっとにお前は往生際が悪いな。』
テーブルに項垂れるようにうつ伏せになる僕になないろの呆れた声が飛んでくる。
あれから引きずられるようにしてお店にやってきた僕は、既に個室に通され待っていた友人2人と合流した。
『みつあきは嫌いだもんね。合コン。』
苦笑いしながら僕の顔を覗くのは同じゼミの深町。優しい顔つきに優しい口調、そして優しげな雰囲気。彼こそミスター優男。
『合コンじゃねえ、お食事会だ。』
『うるさいよ〜、なないろ。』
「なないろのその″お食事会″推しはなんなの…。」
変なところで頑固だな、こいつも。
『にしても相手の人たち遅いな。』
そしてそして、今までずっと黙って携帯をいじっていたのが。
「まだ予定の15分前だよ、露季。」
そう、何を隠そう露季様だ。
何でも元から来るはずだった奴がダメになって、代わりに露季が呼ばれたらしい。
『俺はもっと早い時間に集合させられてんだけど。なぁ、なないろ。』
『い、いや〜。女性をお待たせするわけにはいかないと思って。』
『なないろは変なところで紳士的だよね。モテないけど。』
『最後のいらねぇんだよ!深町ィ!』
…ちなみに深町は口調が優しいだけで実際は相当な毒舌家だ。
「でも、露季が合コン来るのって久しぶりじゃない?最近断ってたじゃん。」
『ん〜、まぁちょっと確認したいことが
あって。』
「確認したいこと?」
『いや、こっちの話。』
そうはぐらかした露季だったけど、なぜか言葉の端々には苛つきが孕んでいて、僕は小さく頭を傾げたのだった。