みかづきさんと僕
『おっし、みんな飲み物回った?』
『回ったよ〜。』
各々お酒を頼み、すぐに運ばれてきたそれを片手に持つと、なないろが立ち上がって音頭をとる。
『え〜、では!今日の出逢いを祝して!』
「「かんぱ〜い!!」」
一斉にグラスを合わせて、氷がグラスにぶつかる音を合図にお酒を一口。あ〜、ビール美味い!
お酒を呑んで少し気分が良くなった僕は、結構この雰囲気を楽しんでいることに気付いて心の中で苦笑い。まぁ、このお店は僕もお気に入りだし。
気分が良いのも、不思議と素敵なことが起こる予感がするのも、きっと気のせいだ。
…なんて。僕は自然と口元が綻ぶ。
『それじゃあ自己紹介しましょうか。』
はっと前を向くと最初になないろと話していた女性が綺麗に微笑んでいた。
『じゃあ、反対側からいこう、…ね。』
そう言うと出入り口側にいた女性にスッと視線を流す。僕もその視線を追ってゆっくり顔を向けて。そして。
僕が恋に落ちるまで、あと…
5
4
3
2
1
『初めまして、榊 三日月です。』
ーーーーーー…ゼロ。
僕は、一瞬で。
心を、奪われたのでした。