みかづきさんと僕



ぼすん、と僕の胸に飛び込んできてた小さな身体を咄嗟に抱きとめる。


何だ何だ、と思った次の瞬間、僕の心臓はドクンッと大きく波打った。


「さ………、榊さん!?」

『は、はい!?』


び、びっくりした!


店の扉を開けようとした時、中から突然出てきたのはなんと榊さんで。


思わず大きな声を出した僕に目の前の彼女はビクッと肩を震わせる。


やばい、驚かしちゃった!


「あ、すすすみません!いきなり大声出して!!」

『あ、あの…。大丈夫…です、から。』

「?」


驚く、というよりかは動揺しているようにたどたどしく話す彼女に首を傾げた。


「どうし…、」

『離してもらえますか…っ!』


僕の声を遮るように声を発した彼女に目を丸くする。


「え?」

『手、離してください…。』

「………、……っ!!!!!!」


知らずのうちにがっしり掴んでいた彼女の肩からバッと勢いよく両手を離す。あ!腰反りすぎた痛い!


よろり、と後ろに後退しながら痛めた腰に手を添えて「Oh…。」と外人顔負けの発音で唸る僕。


『あの…大丈夫?』

「っ!!!!」


突然榊さんの綺麗なお顔が眼前にどアップで映り込み、ビックリした反動で次は背筋をピシッと伸ばす。


「は、はい!!!!」

『……大丈夫なら、いいんですけど…。』


若干引き気味な榊さんに自分を殴りたくなる。さっきから情けない姿見せすぎだろ。



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