不自由恋愛シンドローム
「ごめん・・」
「・・・謝らないで、私が悪いんだから」
「そんなこと・・・・ないだろ」
「ううん・・・・きっと私が悪いの。向いてないのかなあ、教師」
「先生の授業、分かりやすいよ」
「ありがとう・・・白河くん優しいね」
そう言って無防備に笑う咲を、慧は見ていた。
なぜか目が逸らせなくて、慧はコーヒーを飲む。
先生が淹れたコーヒーは、まるで科学の実験のようだと思う。
慧は咲が教壇に立って実験の手本を見せているところを思い出した。
器用で正確なそれ同様、雑味が無く美味しいコーヒー。
次があるならブラックで飲んでみたい、そんなことを思う。