不自由恋愛シンドローム
なんとも思ってない。
「深見せんせーいます?!」
休み時間。
科学準備室のドアがノック無しに開き、姫華が立っている。
「はい、います・・・・・?」
デスクで資料を読んでいた咲は本から目を上げる。
「ちょっと来て」
姫華が準備室を大股で歩いてくる。
その足が一瞬止まり、今目に入ったものを確認するように横を向く。
そこにはコーヒー豆とドリッパーが置いてあった。
「え・・・と、どこに?」
「いいから来て!」
姫華は咲の腕をつかんで科学準備室を出た。
3年7組、慧のクラスの前まで来ると、
「ちょっとここにいて!」
そう言って咲の手を離す。
訳が分からず言われた通りにする咲。
「慧ー!」
教室の中に入っていって慧を呼ぶ。
慧と付き合ってから、姫華はそのことを学校中にアピールしまくっていたので
姫華相手に何か言ってくる生徒はこの学校にはもういない。
「・・・・どうした?」
「ちょっと来て!」
慧の腕を掴むと廊下にひっぱってくる。
「え、せんせ?」
一瞬目が合う慧と咲。
それを見てますます逆上する姫華。
騒ぎを聞いて回りには生徒が集まってきている。