不自由恋愛シンドローム
その頃から少しずつ姫華も変わっていたのかもしれない。

変わらなければ生きていけなかったのかもしれない。



俺は姫華を守りたかった。

出来ることはなんでもしてやりたかった。

だけど姫華は俺に一方的に守られているような女の子ではなかった。



強さと脆さ。

それらが複雑に絡まりあって姫華を形成している。



―私は誰にも負けない、誰にも慧は渡さない・・・



その為に姫華は何でもする。



―慧ちゃんの側にいる為に、分かりやすい何かが必要なの

―他の子と違う、何かが・・



俺には訳の分からない理由でモデルを始めた。

すぐに雑誌の専属になり、今では人気モデルになっている。


勉強でもスポーツでも、常に上位をキープし続けていた。



そして姫華が孤独な女王になるのに、たいした時間はかからなかった。

もう誰も姫華に文句は言わない、手も足も出せない。

けれど、彼女に笑いかける友達もまた、周りにはいないのだった。



―いいの、慧ちゃんさえいてくれれば・・・


どうしてそういう姫華を止められなかったんだろう。

いい訳ないのに、こんなこと。
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