とあるマネージャー
「そうだ、りこは部活なにに決めた?」

と唐突に聞いてきました。

そもそもで私の高校は私立のなかでも特殊で、専門学校と同じような感じだったんです。そのせいか、部活というものは存在していませんでした。

「部活はまずないから、ひまだし生徒会やる」

前からやってみたいと思っていたので。

「ふーんそうゆうのやりたいと思ったんだねー。りこならうまくやれるんじゃない?」

素直に嬉しかったです。平野は言葉をしっかり考えて喋ってくれるので、そこも彼女のいいところですね。

「平野はなにやるか決めたの?」
「決めたよ!私アメフト部でマネージャーする!」

…はいびっくりしましたよ。なんせいきなり路線変更ですから。日本のスポーツからアメリカのスポーツですよ?一体なに考えてんだ。

「部活のビラを校門で配っててさ、アメフト部の人たちすごいおっきい防具つけて、かっこよかった!」

だそうです。かっこいいっていうのは顔ではなく人のオーラです。平野はそうゆう子です。

「あと、もう剣道はしたくなくてさ。あんな辛いものもう見たくもないし、新しいものもやってみたくって!」

とても向上心のある子だなと思いましたね。

「…いいんじゃない?あんたがいいなら」
「うん!絶対楽しいと思う!部員どんな人たちだろうなー」

心底楽しみにしてたので、思わずほっこりと胸があったまりました。

この時はとにかく楽しくすごして欲しいな、としかありませんでした。

それから何日かしてまた放課後に会いました。そしたら彼女ったらもう入部届けだしたって言うんです。

仮入部の二日目でですよ?どんだけ関心意欲あるんだよ!

それからは会うたび会うたび、

アメフト楽しい!
おもしろい!
先輩かっこいい!

とバカみたいに叫んでました。アメフトにゾッコンです。

こりゃあいい環境に恵まれたんだなと、すごく眩しく見えました。顧問に殴られて泣いてる平野はもう跡形もなくて、私もお腹いっぱいでした。

ちなみに写真を何回か見せてもらいましたが、平野の推しメンは唇の大きいハーフみたいな顔のブサイクでした。

かっこいいと言っている先輩はただのゴリラでした。

平野はただのイケメンより中身を見るんだな、と実感しました。つくづくおもしろい奴です。



ちなみに私の彼氏は二十四歳イケメンのオカマです。
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