とあるマネージャー
「やばい。私の周りほんとにやばい」

この日私と平野は珍しく電話でお話ししてました。

「どうしたの?どうやばいの?」

「あのね、聞いて。私いつも一緒にいる子が三人いるんだけど、その内の一人がすごい、なんか、変わってる子なの。

前に話した、赤木って覚えてるよね。部活のポジションもクラスも一緒って子。

そいつすっごいおもしろくて、色んな人と話せるような子なの。

でもすっごい変わってるの」

どうやら本当に困ったような状態でした。

「なんかね、まず、一年生のマネージャーが私入れて九人入ったの。三年生は三人、二年生は一人。

その先輩四人は本当にすごい人たちみたいで、だから私も頑張って仕事を覚えようって何度も細かく質問したんだ」

平野は人に物を聞くとき、一番最初に注意するべきことを聞いています。機械に関わる時であれば、どこに触ってはいけないか、と先を見越しての質問をしています。

「でもその先輩たちに怒られちゃったんだ。固まって動きすぎって。仕事の中に水のボトルの入れ替えっていうのがあるんだけど、確かに九人全員で集ってた。二人でも全然できる仕事なんだよ?だからそれからできるだけ自分で周りを見て動くようにしてみたんだ。

でもそしたら、今度は分裂しちゃったの。楽しく仲間だけでいればいい派と、目立ちたい派と、行動遅いし自分のことを優先でする派と、動くけど気に入らない派で分かれちゃったんだ」

これは先輩がつけてた呼び方ね、とこっそりしたように付け足しました。

「私は動くけど気に入らない派らしくって、赤木は他二人と一緒に仲間だけでいればいい派ってなってたんだ。

それは別にいいんだけど、問題はそこからで!

あ、あそこの水足りてないかもなってなって水の入れ替えに一人で行ったら、赤木たちがこっち見て睨んでたんだよね。え、なんかついてるかなってなってそん時はほっといたんだけど、なんか後々、ああゆう目立つ行為する人いやだって言われてたって知って」

それ聞いて、ちょっとうざかったですね。私の大好きな人のことをそんな風に言っていたなんて。

「でもそれは別にどうでもよかったの!結果先輩たちには動いてる私と動いてない他の人たちに見えるってだけなんだから。

びっくりしたのはその後よ!しばらくして赤木が私のところに来て、えーなんだろって思ってたら普通に話しかけてきたのよ。練習疲れたね、とか明日の授業なんだっけ、とか普通に。

あれやっぱ私のこと言ってたって嘘なんじゃないかなと思ったの。

そしたら!

平野先輩好きだね、って。

嫌味みたいに!赤木はすごい顔に出るんだ。嫌味とか人の悪口言う時必ずする顔で言ってきたの!

だから、え、そんなことないよ?って笑ったの!そしたらあいつ、今日めっちゃ一人で動いてたじゃんって笑って言ったの!

そりゃそうだよ!怒られて注意されたんだから頑張るに決まってるじゃん!仕事するたびに一緒にやろうとかいちいち誘ってたら先輩に行動遅いって言われるし!人が褒められてるのが気に入らないのかな!?

こんなことがほとんど毎日あるんだよ!?私どうすればいいの?仲良くやるために仕事するの遅らせればいいの?仕事して優秀になって嫉妬されればいいの?

嫌いなところがあるならさっさっと言えばいいし!

かと思ったらクラスとかでも他の子と話してたら不機嫌になって怖い目でずっと睨まれるんだよ!?

何?って言ったら無言でそっぽ向くし!肩掴んで何?って言ったらなんでもないって肩振って逃げるし!

言いたいことすぱっと言えよ!言えないなら口に出すな!」

いやぁさすがですね!!

このはっきり物を言うところ。最高かよ。

平野は怒りっぽく見えるかもしれませんが、まったく違います。彼女は全て正当な理由で起こっているから、なんかなにも言い返せないですよね。

悔しくなるから人間って変われるんだなと思いました。

赤木ちゃんは今後もとっても絡みが多いです。お楽しみに。


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