お見合いに来ないフィアンセ
『んじゃ、適当に……』がなんでおうちごはんなの!?

 小山内さんのアパートの近くにあるスーパーでお買い物をして、おうちでご飯。
 いま、小山内さんがキッチンで料理をしている。

 私も手伝おうかと声をかけたが、座っててと完璧スマイルで言われたので、手伝えなくて。
 身の置き場に非常に困っている。

「あの……小山内さん、疲れていませんか?」
「ぜんぜん」
「だって、試合だったわけですし」
「練習の時より、走ってないからねえ」
「でも、緊張とか……メンタル面のお疲れが……」
「ないよ」

 えっと……え?
 ないの?
 緊張して、疲れたぁ……ってないの?

「走るだけなら、疲れないよ。むしろ飲み会と打ち上げのほうが疲れる。面倒くさいし、うざいし。イライラする」
「そうなんですか?」
「他人って面倒くさい。なんで一緒に居たがるのが意味不明だよ」
「あ……えっとぉ」

 それって、私も含まれるのかな?

「もちろん美月ちゃんは別だよ。一緒に居たい」
「それなら……良かったです」

 迷惑に思われてなくて良かった。

 私はホッと息をついた。


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