お見合いに来ないフィアンセ
ホテルに着くと「ご両親にはご了承を得といたよ」と完璧なイケメンスマイルで言われる。
あー、親はね。
そりゃ、否定しませんよ。
だって、小山内さんと結婚してほしいんだから。
さっさとそれなりの事実というものが欲しいよね。
なら拒否してる場合じゃない。
ホテルのソファに座った小山内さんは、お茶のペットボトルを飲んだ。
「大学に行く前に、美月ちゃんを送っていくね」
「直接行くんですか?」
「うん、行くよ。部屋にあいつがいるんじゃあなあ。帰る気うせる」
「相馬さんとはおなじ部活なんですか?」
「ああ……。マネージャーやってる。外面はいいから、まわりのウケはいいらしい」
「そうなんですか」
一緒の部活で、マネージャー。
小山内さんと過ごす時間はたくさんあるんだあ。
いいなあ。
好きな人のそばに居られるって幸せだろうな。
「どうしたの?」
「んー、好きな人と一緒に過ごせるっていいなあって。私は高校と大学で離れてるから」
ん? あ……あれ?
これって、告白しているようなもの?
目の前で嬉しそうに顔が崩れる小山内さんを見ていて、自分の言葉が脳内でリピートされた。
「美月ちゃんが、そう思ってくれてるって嬉しいよ。幸せだな、僕」
にっこりとほほ笑んで、小山内さんはお茶を飲んだ。
上下に動くのど仏が、恰好いい。
男らしさをあらわしてるなあ。
「あ……やや、えっと。その……ハイ」
どう反応したらいいのかわからずに、私はジタバタと悶えた。
こういうとき、スマートに応対できる女になりたい。
慣れない空気で、落ち着かないよ。
あー、親はね。
そりゃ、否定しませんよ。
だって、小山内さんと結婚してほしいんだから。
さっさとそれなりの事実というものが欲しいよね。
なら拒否してる場合じゃない。
ホテルのソファに座った小山内さんは、お茶のペットボトルを飲んだ。
「大学に行く前に、美月ちゃんを送っていくね」
「直接行くんですか?」
「うん、行くよ。部屋にあいつがいるんじゃあなあ。帰る気うせる」
「相馬さんとはおなじ部活なんですか?」
「ああ……。マネージャーやってる。外面はいいから、まわりのウケはいいらしい」
「そうなんですか」
一緒の部活で、マネージャー。
小山内さんと過ごす時間はたくさんあるんだあ。
いいなあ。
好きな人のそばに居られるって幸せだろうな。
「どうしたの?」
「んー、好きな人と一緒に過ごせるっていいなあって。私は高校と大学で離れてるから」
ん? あ……あれ?
これって、告白しているようなもの?
目の前で嬉しそうに顔が崩れる小山内さんを見ていて、自分の言葉が脳内でリピートされた。
「美月ちゃんが、そう思ってくれてるって嬉しいよ。幸せだな、僕」
にっこりとほほ笑んで、小山内さんはお茶を飲んだ。
上下に動くのど仏が、恰好いい。
男らしさをあらわしてるなあ。
「あ……やや、えっと。その……ハイ」
どう反応したらいいのかわからずに、私はジタバタと悶えた。
こういうとき、スマートに応対できる女になりたい。
慣れない空気で、落ち着かないよ。