お見合いに来ないフィアンセ
―駿人side-
「お肌が艶々で。いい思いをしたようだねえ」と舘岩が声をかけてくる。
「ふざけっ」
艶々になるようなこと、全然できてない。
僕の走る姿を思い出しながら話す美月ちゃんの顔を見たら、手を出せなくなった。
どうせ、そんなに僕を想ってないだろうし、と思ってた。僕は見合い相手だ。
玉の輿という気持ちも多少はあるだろうし。
大好きとか、愛がちらつくような『好き』という感情は、美月ちゃんには無いと思ってた。
これから育んでいけばいい、と軽く考えてた。
だから育むために……。それなりの行為は必要って。
でも、僕を前から知っていると話す美月ちゃんの輝く瞳を見たら。
もっと大切にしなくちゃって思った。
そう思ったら、もう手がだせなくなってた。
抱きたいけど、抱けないってこういうことを言うのかって。
身をもって知ったよ。
「あいつ、俺よりも先にアパートを出ていったのに。まだ来てないんだよ」
舘岩が小声で僕に耳打ちしてきた。
僕もまわりを見渡して、相馬の姿を探す。
ひときわ目立つあいつが見当たらい。
一度、家に帰ったのだろうか?
見た目命的なところが、あいつにはある。
身だしなみのために家に帰るということはありそうだ。
「小山内、今夜イケる?」
チームメイトが、酒を飲むジェスチャーをして問いかけてきた。
僕は首を振って「いけない」と返事をした。
「お肌が艶々で。いい思いをしたようだねえ」と舘岩が声をかけてくる。
「ふざけっ」
艶々になるようなこと、全然できてない。
僕の走る姿を思い出しながら話す美月ちゃんの顔を見たら、手を出せなくなった。
どうせ、そんなに僕を想ってないだろうし、と思ってた。僕は見合い相手だ。
玉の輿という気持ちも多少はあるだろうし。
大好きとか、愛がちらつくような『好き』という感情は、美月ちゃんには無いと思ってた。
これから育んでいけばいい、と軽く考えてた。
だから育むために……。それなりの行為は必要って。
でも、僕を前から知っていると話す美月ちゃんの輝く瞳を見たら。
もっと大切にしなくちゃって思った。
そう思ったら、もう手がだせなくなってた。
抱きたいけど、抱けないってこういうことを言うのかって。
身をもって知ったよ。
「あいつ、俺よりも先にアパートを出ていったのに。まだ来てないんだよ」
舘岩が小声で僕に耳打ちしてきた。
僕もまわりを見渡して、相馬の姿を探す。
ひときわ目立つあいつが見当たらい。
一度、家に帰ったのだろうか?
見た目命的なところが、あいつにはある。
身だしなみのために家に帰るということはありそうだ。
「小山内、今夜イケる?」
チームメイトが、酒を飲むジェスチャーをして問いかけてきた。
僕は首を振って「いけない」と返事をした。