お見合いに来ないフィアンセ
小山内駿人が運転席のドアを開けた。
降りていく様をじーっと見つめながら、私は途端に申し訳ない気持ちに襲われた。
私が悪いわけじゃないと思いたいけれど……悪いことを現在、私はしているのかもしれない、と。
3回も見合いをすっぽかした目の前の男がいけないのに、彼のこれからの予定を私はダメにした張本人であることは事実だ。
濡れた巾着をぎゅっと握りしめた。
「おりないの?」と声が外から聞こえてくる。
地下駐車場では声が響く。私は顔をあげると、「おります、おります」と慌てて車をおりた。
「そういえば、名前まだ聞いてなかったね」
車のロックをしながら、小山内駿人が聞いてくる。
「山村 美月です」
「美月さん、今日は本当に申し訳ありませんでした」
私の目の前に立った小山内駿人が、腰から折り曲げて、頭を深くさげてきた。
「え!? ちょ……」と私はまわりをきょろきょろ見回して、人がいないことを確認してから、小山内駿人の肩に手をおいた。
「なに、してるんですか」
「僕は三回も美月さんとの予定をすっぽかしたのでしょう? 美月さんではなく、ご両親にも頭をさげないと」
体を起こした小山内駿人が、「ね」と言葉をそえた。
降りていく様をじーっと見つめながら、私は途端に申し訳ない気持ちに襲われた。
私が悪いわけじゃないと思いたいけれど……悪いことを現在、私はしているのかもしれない、と。
3回も見合いをすっぽかした目の前の男がいけないのに、彼のこれからの予定を私はダメにした張本人であることは事実だ。
濡れた巾着をぎゅっと握りしめた。
「おりないの?」と声が外から聞こえてくる。
地下駐車場では声が響く。私は顔をあげると、「おります、おります」と慌てて車をおりた。
「そういえば、名前まだ聞いてなかったね」
車のロックをしながら、小山内駿人が聞いてくる。
「山村 美月です」
「美月さん、今日は本当に申し訳ありませんでした」
私の目の前に立った小山内駿人が、腰から折り曲げて、頭を深くさげてきた。
「え!? ちょ……」と私はまわりをきょろきょろ見回して、人がいないことを確認してから、小山内駿人の肩に手をおいた。
「なに、してるんですか」
「僕は三回も美月さんとの予定をすっぽかしたのでしょう? 美月さんではなく、ご両親にも頭をさげないと」
体を起こした小山内駿人が、「ね」と言葉をそえた。