ワンルームで御曹司を飼う方法
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「社長……起きられますか?汗拭いてパジャマ着替えましょう」
帰宅した私は急いでコートを脱ぎ手洗いを済ますと、早速彼の看病をはじめた。
汗を滲ませ怠そうな社長の身体を起こしてあげて、綺麗なパジャマとタオルを用意してあげる。さすがに身体を拭いてあげる事は出来ないので、そこは自分でやってもらおうと思ったけれど。
「……だるい」
身体がしんどくて面倒くさいのか、社長は再び布団に寝転んでしまった。
「駄目ですよ、汗掻いたままじゃ身体が冷えちゃいますから」
まるで手の掛かる子供みたいだ。ちょっと躊躇ったけれど、恥ずかしがってる場合じゃないと腹を括って彼のパジャマのボタンに手を掛ける。
「なんだよ……襲う気?」
「馬鹿なこと言える余裕があるなら自分でやって下さい」
汗の伝う首筋や引き締まった胸板をなるべく見ないようにしながらなんとかパジャマを脱がし、手にしたタオルでそっと身体を拭いていくと、「ふひゃ、」と変な笑い声をあげられた。
「ちょ、宗根、くすぐったい」
「我慢して下さい」
いつまでも裸でいさせる訳にもいかないので、くすぐったいという訴えは却下して手を動かし続ける。
社長は「こちょばい」だの「くすぐったい」だの言い続けたけど、結局私の手を止める事はしなかった。