ワンルームで御曹司を飼う方法
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「いい社会勉強になったなー」
小さな遊園地の乗り物を全制覇した私たちは、日の沈みかけた遊園地を後にした。
満足そうに笑って出口のゲートをくぐる社長の斜め後ろを歩きながら、
「やっぱり幾つになっても遊園地は楽しいですね」
なんて私も笑い掛ける。
「コインで動いて音楽が鳴るパンダは衝撃だったけどな。あれ個人的に百台ぐらい欲しいわ。明日からリムジンの代わりにあれで移動したいね」
どうやら小銭で動くパンダの乗り物が彼にとって本日一番の衝撃だったらしく、しかも相当気に入ったようだった。なんであんなものがいいんだろ。
けど、パンダの乗り物を褒め称えながら嬉しそうに歩く横顔はまるで無邪気な子供で、そんな社長の様子を見ていると、なんだか観覧車の沈黙も手を振り払われたこともただの気のせいだったような気がしてくる。
私の考え過ぎだったのかもしれない。そう思えば苦しかった胸もなんだか和らいで、私は少しだけ元気になる事が出来た。
遊園地の敷地を出ると歩道を挟んだ向こう側に賑やかなのぼりの並ぶフェンスが見えた。その奥では広めの駐車場と変わった形の建物にたくさんの人が集まっている。
「あ、社長。ほら、あれが観覧車から見えた『道の駅』ですよ。色々売ってるみたいだし、ちょっと寄っていきましょう」
道の駅では地元で獲れた新鮮な野菜がスーパーで買うより安く手に入ることが多い。節約生活を続けている我が家にとってこれは見逃せないところだ。
つい張り切ってズンズンと足を進めると、社長もキョロキョロと興味深そうにあちこち眺めながらあとを付いて来た。