ワンルームで御曹司を飼う方法
買ってきたものをテーブルに並べると、まるでパーティーのような賑やかさになった。チキンにサラダにオードブルの盛り合わせ、スナック菓子にスイーツまで……まるで誕生会みたい。
食料はみんなが買ってくれたけれど、ホストとしてボケッとしてるワケにはいかない。押入れの奥から普段使ってなかった来客用の座布団を引っ張り出し、料理が乗り切らないので衣装ケースにクロスを掛けてテーブル代わりにする。缶アルコールを飲む人以外にはグラスを提供し、紙皿が足りなければお皿も用意する。
そんな風にせわしなく動いていたら、兵藤さんと経理の人……布施さんが一緒に手伝ってくれた。
「ほら、エリもカズちゃんも食べてないで手伝いなよ。無理言って押しかけたんだから宗根さんの手をわずらわせないの」
「そうですよ、宗根さんは座ってて下さい。ほら、来栖さんも動いて下さい」
その声を聞いて狩野さんや三沢さんが「はーい」と照れたように笑って立ち上がる。布施さんに座らされた私は、ちょっと驚きながらそんな光景を見ていた。
今まで自分が主催なんかになった事がなかったから、みんなが気遣ってくれるのが何だかソワソワしちゃう。何かしなくちゃいけない気がしてキョロキョロしていると。
「宗根ちゃんって独り暮らし長いの?部屋すっごく綺麗だね」
どうやらお手伝いが相当苦手らしい狩野さんが、キッチンスペースから逃げ出し私の隣へ飲み物を注ぎながら座り込んできた。
「大学卒業してからずっとだから、かれこれ3年以上かな」
「へー。私さ、今カズちゃんと住んでるんだけど、部屋超~きったないの。ふたりとも掃除苦手でさー」
「おい、テキトーなこと言うなよ。散らかしてんのエリだけだろ。俺のスペースはいつだって綺麗だぞ」
狩野さんの話を聞いていた三沢さんがすぐさま訂正しながら、どさくさに紛れて腰を下ろす。それを見て兵藤さんがキッチンから「もー、すぐサボる~」と非難の声を上げていて、私は肩を竦めて笑ってしまった。