ワンルームで御曹司を飼う方法
「俺は灯里が危ない目に遭ってる訳じゃないなら別にいいから。けど、そんなに必死に弁解するくらいなら、最初からちゃんと話しておけば?とは思う。隠されてたみたいで、あんま気分良くない」
……それはそうだよね。今さらながら自分の臆病さが招いたズルい気持ちに嫌気が差す。
嫌われたくなかった。男を平気で泊めるなんてって、軽蔑されたらどうしようって。なのに社長を拒みきる強さも無くって。
弱くて、ズルくて、なのに嫌われたくないなんて傷付く事に怯えて。
――灯里のそういう人間らしい弱さ、俺は嫌いじゃない――
あんなに大切な言葉をくれた蓮に、私勝手に怯えていて…………馬鹿みたい。
「……ごめん。蓮には、蓮にだけは知られたくないと思ってたから」
「なんで?」
私の言葉に、蓮があきらかに不快さを持った声色で返す。けれど。
「だって私…………蓮のこと好きだから。だから、蓮にこの事知られて軽蔑されたらどうしようって、勝手に恐がってた。……ごめん」
夜の雨音が混在した告白は、彼の顔から不愉快さを消し、代わりに静かな驚きの表情をもたらした。