ワンルームで御曹司を飼う方法
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【2】
窓から差し込む朝の光で目覚めた私は、いつもより妙に温かい寝心地に思わず再び眠りに堕ちそうになる。
……今、何時だろう。目覚ましより先に起きた?……あれ、私昨日ちゃんとアラームのセットしたっけ?
…………あれ?私、昨日……いつ寝た?
っていうか……なんでこの布団こんなに温かいの?
夢うつつから段々頭が覚醒していくと共に、サーっと血の気が引いていく。そして、まさかと云う思いでエイっと瞼を開いてみれば。
「……っっっ!!?」
起きぬけの双眸に映るのは結城社長の端整な寝顔。それも15センチと離れていない超近距離で。
私はパニックで叫び出しそうになるのをなんとか堪えて、すぐさま身体を起こし現状を確認した。
一体昨夜、我が身に何が起きたというのだろう。いつものワンルーム、いつものベッドなのに、どうしてか私は結城社長と身を寄せ合って寝ていた。ものすごくヒヤリとしたけれど、ふたりとも着衣の乱れは無いようなのでそこだけはホッと胸を撫で下ろす。
けれど安心してる場合じゃない。なんでこんな仲睦まじい恋人同士みたいな体勢で朝を迎えてるんだろう。社長なんか片手で私の背中を抱き寄せるように寝ていて、これじゃ本当に恋人みたいだ。
私はバクバクと激しい動悸を抱えながら社長を起こさないようにベッドから抜け出し、時計を見やる。時間はまだ朝の5時。普段より1時間は早い。
そして薄明るくなった部屋を見渡して、テーブルの上に昨日のまんまのガスコンロとすきやき鍋が置かれたままな事に気がついた。それに加え、自分がパジャマに着替えてない事にも。
――そうだ、昨夜……。