ワンダーランドと春の雪
「お前には多分死んでも言わねえから安心しろ」
「えっ言ってくださいよ?!あとそんなゴミを
見るような目で見ないでください!」
ジュリーちゃんは呆れたように笑って、
二人の肩を叩いた。
「分かった分かった。仲が良いのは結構だけど
話が進まないからね」
「「全然仲良くないけど?!」」
と二人が焦って否定するのが見ていてとても
微笑ましかった。
焦ってたように見えたのはマリーちゃんだけ
だったけど。
「……で、作戦の確認だ。俺は行かないが、
お前ら五人で龍に乗って城に突入して、
ジョニーを助けたらすぐに帰って来い」
何とも雑な説明だ。
五人っていうのは私たち三人と、
あと二人は多分 同じクラスの男の子だ。
「というか、ツバサ先輩は何で行かないんですか?」
「え、俺?」
私の問に、先輩は少し困ったような目をした。
「面倒だろ」
そ、そうですか……
面倒とか言いながら、ちゃんと作戦を考えたり私の心配をしてくれたりするから、
ツンデレなだけで悪い人ではなさそうだ。
「じゃー行こっか! 門からだとガーゴイルくん
たちにバレちゃうから、地下の抜け穴を
通って龍のところまで行くよ~! 」
マリーちゃんがそう言って、
私たちは教室をあとにした。