指先に囚われて…
『ゆ、夕さっ…本当にごめんね、お金は払っておくからっ!また学校でねっ!』
最後に、微かに横目で見た有馬君の顔はなんだか複雑そうに、考え込んでいたようだった…。
…―
時計の針は4時を回ったところ、この時間今は日が一番長く出ている月であるため、すれ違うのはこれからまだ何して遊ぼうかと、走っている子供が多い。
そんな大通りを私は手を繋がれているものの、夕さんの足が今日はいつもより少し早くて、夕さんより半歩も歩幅が小さい私はすでに息が切れ切れだ。
話しかけようにも、簡単に話しかけられない雰囲気。
『(どうしよう…;)』