指先に囚われて…
第一印象
それから、一週間と少し経った柔らかな新緑の香りが漂い始めた週の半ば。
今日も学校が終わってすぐに、家に帰り仕事の準備をする。
軽くシャワーを浴びてから、丁寧に髪を乾かし、鏡の前に移動する。
当日着る物は、いつも前の日に掛けてだしてあるのだが…
『あれ?私この着物出したっけ?』
その着物とは、濃淡のある緋色に空木の花を描いたもの。
きっと、お母さんが出したんだろうけど…。
『(そういえば…今日は芝田さんが来ることになってるんだっけ…だからね…)』