指先に囚われて…
あの日の事を思い出すと、胸の奥がきゅうっとなって苦しいような切ないような気持ちになる。
それと共に、ふわふわと温かいなにかに包まれているような感じもする。
「・・・だったら、今はそれでいいんじゃない?その時その時に思う気持ちを大切にしていけばいいと思うよ、私はね」
『うんっ♪新南、ありがとうっ!やっぱり新南に話して良かったっ♪』
「ほんとよ、もう。もっと美弦は私に頼りなさいっ!親友なんだから」
その日、屋上から見えた空は雲ひとつない綺麗な青色で、夕さんもこの空を見ているのかなと考えると、また新しい気持ちが生まれた気がした。