指先に囚われて…
「もぉっ、さっきから何回も呼んでたのに美弦ってば全然っ気付かないんだもん!!」
『ごめんごめん;』
私は羽月 美弦(17)高校2年生。
今日も長かったような授業漬けの一日が終わり、これから始まる時間のことを考えていたせいか、声を掛けられていたことに全く気付かなかった。
今どきの女子高生では少し珍しい、黒髪は太ももの付け根くらいまであり、コンプレックスである垂れ目は大きな黒眼のせいで余計に強調されている。
所謂、古典的…古風な顔立ち。
身長も高くもなければ、低くもない中途半端な160㎝あるかないか…。
そのため友達は、和服が似合いそうだとか、小野小町みたいだとか言うけれど…。