指先に囚われて…


…―


その夜…


お店を閉めて、片づけも終わり部屋で着物の帯を解こうとしていたときだった。


〈~~♪…~~♪〉


どこからか、着信音が聞こえた。


『あっ!スマホ、下に置いたままだった!』


「美弦~っ!ケータイ鳴ってるわよ~!」


『今行くっ!』


まだ、下にはお母さんがいたらしい。


〈タッタッタッ…〉


転ばないように、階段を駆け下りて、電話がまだ鳴っていることを確認しながら急ぐ。


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