【短編】はくだく【BL】

 結局、僕はそのまま口を割らず、眠気に耐えられなくなり、寝ることにした。

 僕は壁を向いて尊に背を向けて横になった。

「なあ馨、なんでこっち向いてくんないの?」

「小さいときも背中合わせで寝てたでしょ」

「でもよお、こっち向けよ。寂しいだろ」

 僕だって尊と向かい合わせで寝たい、でもそんなことしたら…いや、そんなことできない。

「じゃあこっち向かなくていいから好きな人教えろよ」

「やだ」

「じゃあこっち向けよ」

「やだ」

 そんな会話を繰り返して僕がやだの一点張りでいると、尊が僕の肩を掴んで無理やり自分の方に向かわせた。

「言えよ」

 その強引な手段に思わずこらえきれなくなった。

「もう…ばかぁ…言えないんだってば…」

「な、なんで泣くんだよ」

 尊は困惑しながら僕の頭を撫でた。

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