【短編】はくだく【BL】
2月14日
バレンタイン当日の朝、手作りケーキを片手に尊の家に行った。
まだ寝てる尊の部屋に入って布団をめくる。
そこには愛おしい尊の寝顔があって、何度キスしてしまいたいと思ったかわからない。
「尊、朝だよ」
冷静に声をかけて尊を起こす。
「ん、あー」
尊は伸びをして僕を見た。正確には僕の手にある箱を見た。
「さっそくもらったのかよ…クソイケメンが…」
「ち、違うよ、これは、その…僕が作ったの」
「…好きな人にあげるために?」
「尊のためだよ」
「えっ、まじ?ありがとう!」
尊は驚いたまま受け取ると、一階の居間に持って行って箱を開けた。
「これマジで馨が作ったの?」
尊が驚くのも無理はない。
僕が徹夜してまで作った自慢のチョコレートケーキだ。
「うまっ!すげえな馨!店と変わんねえよこれ!店よりうまいかも!」
「そんな、大袈裟だよ」
尊が喜んでる顔が見れて良かった、と心から思った。
最近の尊は様子がおかしかった。
僕と距離を取りたがるというか、その割りには僕のことすごく見てるし。
もしかしたらもう気付かれてしまったのかもしれない。
「馨、本当ありがとな」
「う、うん、どういたしまして」
尊の改まった言い方に少しドキッとした。