【短編】はくだく【BL】
2月15日
「昨日はごめん」
尊は僕が起きる前に起きてて、僕が起き上がったときに謝った。
「ううん」
やっぱり本気じゃないよね。
「嫌だったろ?馨泣いてたし」
「自分でもわかんない」
尊が僕の隣に座って僕の頭を撫でる。
「早く着替えろ」
「なんで?」
パジャマのまま朝食をとろうとしていた僕は尊に聞いた。
「そのパジャマ親父のサイズだから馨にはでかいんだよ」
「うん」
「あと…鎖骨…見えてるし」
「え?」
それって…嫉妬?
「なんでもいいから、他のやつにそんな姿見せんじゃねえよ」
昨日の夜、お父さんに見られて抱きしめられたこと言ったら、尊は怒るかな。
「あと…いや…なんでもない」
尊は何かを言いかけてから、僕を引き寄せて、甘いキスをした。
「…甘い」
たぶん僕が寝てる間にチョコレート食べてたんだ。
「一時的な感情じゃないからな?」
「…うん」
尊はもう一度キスをして部屋のドアを開けた。
「あと、親父には近づくなよ」
そう言って部屋から出た。