【短編】はくだく【BL】
「じゃあ、あとで馨んち行くな」
「うん、じゃあね」
尊に手を振って歩き出す。歩いてるうちに怒りが湧いてきた。
なんでだよ。いつもは僕と一緒に帰るのに。
いつもは僕を待たせてでも一緒に帰るのに。
今まではずっとそうだったのに、なんで今日に限って一人で帰らなきゃならないんだ。
僕は尊に追いつかれないようにわざと早足で帰った。
尊がいないからか、今日はいつもより寒く感じた。
家に着いてしばらくたっても尊は帰って来なくて、1時間後、ようやく帰ってきた。
知らない女の子と一緒に。
窓から二人の姿を見て僕の思考が停止した。もう終わった。全て。
だから先に帰っててほしかったんだ。
最初から僕を追いかけるつもりなんてなかったんだ。
これからは僕とずっと一緒にはいてくれない。悲しすぎて涙も出ない。
二人は尊の家の前で少し話したあと、別れて女の子は元来た道を帰って行った。