願い事を一つだけ。【短編】
「ああ、とっくにな。あれ冬だよなー咲」


凜さんが後ろを振り返って言った。


後ろに人が居るなんて気づかなかった。


しかも、あろうことかそれはとてつもなく綺麗な女の人。

いや、可愛いのかな。


綺麗要素も可愛い要素もある、何と言うか…女神?


「何よ凜。このあたしが気ぃ遣って気配消してたのに打ち破る気?」


強気な性格らしい。


木にもたれて、手に何やら難しそうな英語の本を持っている。


そうか、椿姉様も今年は受験か。


「こんにちは、菖蒲さん」
「あ…こんにちは。申し遅れました、間宮 菖蒲です」



お辞儀をしてから顔を上げると、咲さんが顔をしかめていた。

そして、


「かった!!」


と言い放つ。


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