届屋ぎんかの怪異譚



「朔!? なんでここにいるの?」



「うわ、またおまえかよ」



二人の声が重なった。



そんな二人の様子を見て、さがみ屋の主人は「お知り合いですか?」と朔に尋ねる。



「まあ、はい……仕事仲間、です」


と、朔は答えた。



(え、仕事仲間……?)



訝しげな顔をする銀花を、朔は「黙ってろ」と言いたげな目で睨みつける。



「あいつも一緒に、詳しい話を聞かせてもらえますか」



朔の言葉に、老婦人は戸惑いながらも頷いた。



「どうぞ、こちらへ」



なんだかよくわからないことになったぞ、と、困った顔で銀花は振り返る。


すると、あざみは『わたくしはここで待っております』と微笑む。



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