届屋ぎんかの怪異譚
それは流星のように、一瞬で見えなくなってしまった。
それでも銀花は、しばらくじっと空を見上げていた。
そのままどれだけの時間が経っただろうか。
「おーい!」
聞き覚えのある声が聞こえて、銀花は来た道を振り返る。
先ほどの少年が、泣きはらした目で銀花を見て、まっすぐ走ってくる。
手に何か包みを持っていた。
惜しかったな、と、銀花は思った。
この子の母親は、先ほど銀花が送ってしまった。
まったく、どこまでもすれ違う親子だ。