届屋ぎんかの怪異譚



「ついこの間、俺に人も妖も一緒だとか、説教垂れたやつの言うことか、それは」



「それはそうだけど、」



「それに、半妖だからって猫目に嫌われると本気で思ったのか。この、首に正真正銘の妖巻きつけてるやつに?」



阿呆かおまえは、と、朔が重ねて言う。



そう言われてみれば、その通りだった。

猫目はそういう人だと、朔よりも銀花の方がよく知っているはずなのに。



幼い頃からずっと恐れられてきたから、それが当然だと、どこかで思っていたのだ。



「……そうね。そうだわ。……ごめんなさい、ありがとう」



素直に言って、小さく笑ってみせる。

そうしてみると、すこし気が楽になった。



「よし、やっと笑ったな」



朔は言うと、銀花の手を取る。



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