届屋ぎんかの怪異譚



「届屋のねえちゃん! あの、これ……」



少年は息を切らして銀花に追いつくと、持っていた包みを銀花に差しだした。



「おっとうが、おっかあの着物を届けてくれたお礼にって。


ねえちゃん、持ってた風呂敷に入ってたの、おっかあの着物だけだったみたいだし、

旅のもんなら、それはちょっとまずいんじゃないかって。


だから弁当と、ちょっとだけどお金入ってるから、受け取ってくれよ」




少年は言って、半ば強引に包みを銀花に押し付ける。


断る理由もないので、銀花は礼を言って包みを受け取った。


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