届屋ぎんかの怪異譚
結局、糺には薬を飲ませて銀花の家に泊めることになった。
縊鬼はひとの心の奥深くに入り込む妖。
結びつきが強くて、猫目にも祓うことができなかったのだ。
いつ糺が目を覚ますとも限らないので、夜の間は猫目が泊り込んンで見張っておくというはなしになり、
猫目と銀花だけでは危ないから自分も、と朔が付き添う形になった。
猫目もそう弱くない上、糺は意識がない状態が続いているため、
銀花にはなにが危ないのかわからなかったが、朔に押し切られてしまった。
妖の干渉を薬で抑え込んでいるものの、やはりそこは半妖と人との違いだろうか、
ぴんぴんしている銀花と違い、糺はぐったりして意識がない。
「猫目、あとは店番しながらあたしが糺さんを見ておくから、もう寝ても大丈夫よ。お疲れさま」
銀花が言うと、猫目は「じゃーお布団借りるね、ありがとう」と弱弱しく返事をして、よろよろと用意されてあった布団に潜り込む。