届屋ぎんかの怪異譚
4
4
――――――――――
閃光が宙を斬った。
あまりにも唐突に始まった二人の闘いに頭がついていかず、呆然と固まっている銀花の隣で、キン、と硬い音がした。
驚いて反射で身を引いて、それが刀どうしのぶつかり合う音だと気がついたのは、その一瞬後。
受け止めた刀を押し返して、今度は朔が斬りかかる。
けれど晦は軽やかに後ろへ跳んでそれをかわすと、挑発するようににやりと笑ってみせる。
銀花の隣で、朔が地を蹴った。
「朔……!」
離れていく朔の背中を思わず追いかけそうになり、しかし銀花は猫目に手を引かれて止められた。
「銀花は危ないから下がって」
「猫目……」
銀花をかばうように前に立ったその背中に、小さくつぶやいた。
訊きたいことがあるのに言葉にならず、名を呼ぶことしかできなかった。
しかし猫目もそれはわかっているのだろう。
小さく微笑むと前を向いて、背中で言った。