届屋ぎんかの怪異譚
✿五、萱村と鬼の真実
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✿五、萱村と鬼の真実
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差し出した茶を一気に飲み干して、ぷはぁ、と息を吐くと、玉響は囲炉裏の向こうで照れたように笑った。
「はしたなくてすまないね。育ちが悪いもんで」
「いえ、そんなこと」
首を振って、銀花も茶をすすった。
熱が喉を通って胃に落ちる。
ふう、と息をついて、湯呑を包むように持った手をそのまま膝の上におろした。
そっと湯呑を覗き込んでみても、部屋が暗くて水面にはなにも映らない。
しばらくそうして下を向いていた銀花は、パチ、と囲炉裏の火の中で木が割れた音を聞いて顔を上げた。
「聞かないのかい?」
「え?」
唐突に言った玉響の言葉の意味がわからずに首をかしげると、玉響が火の向こうで薄く笑った。
「山吹のこと、月詠(つくよみ)のこと、秀英のこと、わたしのこと、それから……白檀(びゃくたん)のこと」
中性的な声は優しく、じんわりと空気に溶けて銀花を包みこむようだった。