届屋ぎんかの怪異譚
「お、銀花ちゃん」
糺が手を振って、銀花の方へ歩いてきた。
「今日もお店開くのかい? 寝てねえだろう、大丈夫かい?」
「大丈夫よ。糺さんと違って若いもん」
「言うねぇ! どうせ俺はおっさんだよ」
豪快に笑う糺に、銀花も笑みをこぼした。
「糺さんこそ休まなくていいの? そんなに眠れていないでしょ?」
昨夜、青年を銀花の家に運んだ後、少しだが糺も看病を手伝ってくれたのだ。
「俺は人と約束があるんでねぇ」
「約束って?」