届屋ぎんかの怪異譚
それよりねえ、と、語気を荒げて言い、銀花は青年を睨みつける。
「あなた、木造家屋の中でそんなもの振り回さないで! 燃え移ったらどうしてくれるのよ!」
それに、と、銀花は言い続ける。
「あなたが何故、妖を片端から殺さないと気がすまないのか、あたしは知らない。
けど、あなたが倒れた後、看病してあげたのはあたしよ。
風伯だって、自分も病み上がりなのに手伝ってくれたわ。
それなのに、あなたは恩のあるあたしが止めているのにもかかわらず、恩のある風伯を斬るの?
それって、すっごくひどいことだわ」
銀花がそう言うと、青年がわずかにたじろいだ。
――よかった。多少の良心はある人みたい。