届屋ぎんかの怪異譚



それよりねえ、と、語気を荒げて言い、銀花は青年を睨みつける。



「あなた、木造家屋の中でそんなもの振り回さないで! 燃え移ったらどうしてくれるのよ!」



それに、と、銀花は言い続ける。



「あなたが何故、妖を片端から殺さないと気がすまないのか、あたしは知らない。

けど、あなたが倒れた後、看病してあげたのはあたしよ。

風伯だって、自分も病み上がりなのに手伝ってくれたわ。

それなのに、あなたは恩のあるあたしが止めているのにもかかわらず、恩のある風伯を斬るの?

それって、すっごくひどいことだわ」



銀花がそう言うと、青年がわずかにたじろいだ。


――よかった。多少の良心はある人みたい。



< 40 / 304 >

この作品をシェア

pagetop