届屋ぎんかの怪異譚
「だいたい、あなたが倒れたのだって、その妖刀のせいでしょう?
だったら病み上がりでそんなもの振り回していないで、安静にしていなさい」
とどめに「次倒れたら、二度と起きられないかもしれないわよ」と言うと、
青年は舌打ちを一つして、刀を仕舞った。
そしてつかつかと戸口へ歩いていくと、
「世話になった」
と、ひとこと言って、出て行こうとする。
「待って、まだ安静にしないと駄目だわ」
「こんな妖怪屋敷で落ち着いて寝られるか。……おい、女」
「女って、あたしには銀花っていう名前が」
「知るか。橘屋はどこにある」