届屋ぎんかの怪異譚



「だいたい、あなたが倒れたのだって、その妖刀のせいでしょう?

だったら病み上がりでそんなもの振り回していないで、安静にしていなさい」



とどめに「次倒れたら、二度と起きられないかもしれないわよ」と言うと、

青年は舌打ちを一つして、刀を仕舞った。



そしてつかつかと戸口へ歩いていくと、

「世話になった」

と、ひとこと言って、出て行こうとする。



「待って、まだ安静にしないと駄目だわ」



「こんな妖怪屋敷で落ち着いて寝られるか。……おい、女」



「女って、あたしには銀花っていう名前が」



「知るか。橘屋はどこにある」


< 41 / 304 >

この作品をシェア

pagetop