届屋ぎんかの怪異譚
いきなり何を言い出したんだこいつは、という目をする朔に、銀花は得意げに言う。
「妖からの干渉を抑える薬」
朔の眉がぴくりと動いたのを、銀花は見逃さなかった。
「あなた、妖刀に生気を吸われて倒れたとき、普段はもっと長いこと寝込んでいるんじゃない?
でも、今回は一晩寝たら治った。――なんでかしらね?」
勝ち誇ったように言う銀花を、朔は憎々しげに睨みつける。
「刀を使う前に飲めば倒れずに済むはずよ。これ、あげる」
はい、と差し出された薬を、朔は嫌そうな顔をしながらも受け取った。
「だからその代わりに妖を斬るな、と? お優しいことで」