届屋ぎんかの怪異譚



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「かずらさん、いつもありがとうございます」



言って、銀花は紙に包んだ薬を目の前の女に手渡した。



「萩によろしくね」と言って銀花が笑うと、かずらも穏やかな笑みを返した。



「ええ、また来ます」



ぺこりと頭を下げてかずらが店を出ると、店内はしんと静まり返った。



広い店の中で一人、銀花は火鉢のそばに座って薬草をすりつぶしていた。



すこし前まで風伯がいたが、散歩に行くと言ってどこかへ飛んで行ってしまった。

風の精霊である風伯は、長い時間一所に留まっていられない性分なのだ。



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