届屋ぎんかの怪異譚



「てめえが気色悪いこと言うからだ。銀花はてめえの恋人でも何でもねえぞ」



冷たく言う二藍に、「そうだそうだ!」と、今様が同調する。



すると、猫目は目頭を押さえて、「式たちが冷たい……」と泣き真似をする。



「俺は式たちを我が子と思って、式たちのためにいつも心を砕いているのに、まるで母親のように慈しんできたのに、親の心子知らずとはこのことか……!」



「お前から生まれた覚えはねえよ」



「猫目、気色わるい」



狐二匹は冷ややかな目で主人である猫目を見る。

その様子を、銀花はくすくす笑いながら見ていた。



「猫目たちは本当に仲がいいのね」



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