届屋ぎんかの怪異譚



退治屋を生業としているものの、猫目は必要以上に妖を退治するのを嫌う変わり者で、だからこそ銀花は猫目と仲良くできている。


退治する必要がないと判断した亡霊や妖は、届屋の仕事として銀花に成仏させたり、式に下したりする。

そうやって猫目の式となったのが、妖狐である二藍と今様だった。



「猫目、今回はどんな妖に出会ったの?」



退治屋の仕事のためにあちこちへ旅に出る猫目に、出会った妖の話を聞くのは銀花の楽しみだ――が。



「ごめんね、銀花。その前に、すこし頼みたいことがあるんだ」



すまなそうな顔で言われて、銀花は首をかしげる。



「どうしたの?」



「届屋さんにお仕事の依頼。

ここへ帰ってくる途中で宿屋のおっちゃんに頼まれたんだけど、どうも俺の管轄外みたいなんだよね」



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