届屋ぎんかの怪異譚



「朔、と言ったね。君も何か用事があるんだろうし、俺たちもこれからすることがある。言い合いはその後にしようね」



猫目の言葉に、二人ともしぶしぶ引き下がった。


行こうか、と社へ足を踏み入れた猫目について行こうとして、銀花はふと、足を止めて振り返った。



「ところで、朔は何しにここへ来たの?」


「おまえと同じ……仕事だ」


「何の仕事?」



尋ねた銀花に、朔は少し答えにくそうにする。


その反応に首を傾げた銀花に、朔は小さな声で、「退治屋だ」と、ぼそっと答えた。



「退治って….…まさか、このお社の妖を?」



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