届屋ぎんかの怪異譚
その言葉に、男の子はパッと顔を上げた。その目が怯えるように揺れる。
「ひとりぼっちは、怖い」
男の子が、初めて声を発した。
だがその声音は小さな男の子のそれではなく、まるで妙齢の女性のように高く、優しげで耳に心地よい。
「でもきっと、今のあなたを見たらお婆さんは悲しむわ」
「あの人はもう来ない」
「それは、わからないわ。また来られるようになるかもしれないけど、おばあさんは絶対元気になってまた来てくれるって、あたしは約束することはできない」
事実を並べると、男の子は悲しげに顔を歪めた。
こんなところで嘘をついても仕方がない。だが事実な何の慰めにもならない。
(どうしたらいいかな)
この妖の孤独を癒すために、してやれることは。