届屋ぎんかの怪異譚
人もやはり動物。本能で、自分と違うものがわかるようだ。
「あたしは、届屋(とどけや)」
娘は答えた。
「この目には少し、人と違うものが見えるの。
その力を使って、現世(うつしよ)と幽世(かくりよ)との思いを繋ぐ。
それを生業にしている」
少年も父親も、あまりに突拍子もない娘の言葉に、ぽかんと口を開けて呆然としていた。
「届屋の、銀花。
ごひいきには、しなくていいわ」
ゆるりと微笑み、銀花は親子に背を向けると、ゆったりとした歩調で去っていった。