埋火
なぜだろう、総司は蒼祢に会うのが恐かった。
総司はただ何気なく過ぎていく時間の中で蒼祢のことを考えていた。
三条大橋の上で会った、あの日から総司は蒼祢に一切会うことはなかった。
土方は総司のいつもと違う様子に気が付いたのか、ある時、声をかけた。
「総司、大丈夫か?」
しかし総司は、
「何がですか?私はいつもと同じですよ。」
そう言うと総司は土方を見た。
そんな総司の姿に土方は何も言わず総司の目をみた。
すると、その後で総司は土方に少しでも心配をかけたくないと思ったのであろう。
「私は大丈夫ですから。」
とだけ言うといつものように陽気に笑った。
『命令の前に私心など在るべくもない。
それが真の武士の生き様だ。』
総司は心の中で呟いた。
『私は武士だ。』
「蒼祢さんのことはいいのか?」
原田は縁談の話を聞いた際、総司に問いかけた。
すると総司は
「いやだなあ。原田さんは。あの人はそんなんじゃないですよ。」
といつものように笑い返した。
しかし総司はいつもとは一転、暗い表情を浮かべ、こう言った。
『それでも、この縁談というのもいいかもしれませんね。
待っているのは自分が愛する人でない方がためらわずに死ねるじゃないですか。』
そんな総司の言葉に原田は言葉はなかった。
総司自信はわかっていた。いくら自分が蒼祢に思いを寄せたところで結ばれないことを。
そして総司は土方に静かに言った。
「縁談の話、進めてもらえませんか。
総司はただ何気なく過ぎていく時間の中で蒼祢のことを考えていた。
三条大橋の上で会った、あの日から総司は蒼祢に一切会うことはなかった。
土方は総司のいつもと違う様子に気が付いたのか、ある時、声をかけた。
「総司、大丈夫か?」
しかし総司は、
「何がですか?私はいつもと同じですよ。」
そう言うと総司は土方を見た。
そんな総司の姿に土方は何も言わず総司の目をみた。
すると、その後で総司は土方に少しでも心配をかけたくないと思ったのであろう。
「私は大丈夫ですから。」
とだけ言うといつものように陽気に笑った。
『命令の前に私心など在るべくもない。
それが真の武士の生き様だ。』
総司は心の中で呟いた。
『私は武士だ。』
「蒼祢さんのことはいいのか?」
原田は縁談の話を聞いた際、総司に問いかけた。
すると総司は
「いやだなあ。原田さんは。あの人はそんなんじゃないですよ。」
といつものように笑い返した。
しかし総司はいつもとは一転、暗い表情を浮かべ、こう言った。
『それでも、この縁談というのもいいかもしれませんね。
待っているのは自分が愛する人でない方がためらわずに死ねるじゃないですか。』
そんな総司の言葉に原田は言葉はなかった。
総司自信はわかっていた。いくら自分が蒼祢に思いを寄せたところで結ばれないことを。
そして総司は土方に静かに言った。
「縁談の話、進めてもらえませんか。